カルチャー

日本人と大きく異なる、ドイツ人の働き方に対する考え方と休暇の取り方

労働環境で守られているドイツでは、日本とは働く環境が大きく異なります。ドイツでは有給を使って長期休暇を過ごすことは、当たり前のことで、そこにはドイツ人の働き方に対する考え方が関係しています

今回は、ドイツ人の働く環境や休暇の実情を見ながら、ドイツ人の働き方に対する考え方や、国民性を紐解いていきましょう。

Baum
Baum
ドイツは有給が取りやすい国だと聞いたんだけど、それって本当?
Emma
Emma
はい。ドイツでは多くの人が有給を申請します。しかも期間も2、3日ではなく、2週間など長期間の方がほとんど
Baum
Baum
ええ〜!すごい!日本では考えられないなあ。

ドイツ人の残業時間は本当に少ない!

ドイツ人の残業時間は本当に少ない!

まずは、ドイツ人働く環境の実態についてご紹介します。ドイツ人の働き方は、日本人の働き方と大きく違い驚く点がいくつもあります。一番話をしていて驚かれることが、「残業時間の少なさ」です。

Baum
Baum
ドイツの労働環境は、残業時間が少ないという話をよく聞くんだけど、それも本当?
Emma
Emma
本当です!その質問は日本人によくされるんですよね。ドイツでは労働規制によって、労働時間が厳しく定められているのよ。

ドイツは労働時間についての規制が厳しく、1日10時間を超える労働が禁止されていること、6ヶ月の平均労働時間は8時間を超えてはいけないという規定があります。

6ヶ月の平均労働時間が8時間を超えてはいけないという規定においては、労使が協定を結ぶことで例外となる場合もありますが、1日の労働時間に関しては厳しい規制があり、これを破ると罰則が科されてしまいます

Baum
Baum
へえ〜!罰則もあるんだね。
Emma
Emma
労働安全局の検査で違反が発覚すると、経営者は最高15,000ユーロの罰金が科され、悪質な場合は1年間の禁固刑が科されることもあるんですよ。

実際に日本とドイツの労働時間の比較をしてみたいと思います。OECDの2015年のデータによると、日本人の1人あたりの年間総実労働時間は1,719時間なのに対して、ドイツ人は1,371時間でした。

ドイツは日本より、およそ350時間も年間の労働時間が少ないのですね。1日8時間の時間労働で換算すると、1年で43日間もの差が生まれます。

Baum
Baum
日本人ながら、この差にはびっくり!
ドイツ人の残業時間は本当に少ない!

さらに2017年の1世帯あたりの所得についてですが、日本は2万8,641ドル(日本円で315万510円)で、OECD加盟国38カ国中16位なのに対して、ドイツの1世帯あたりの可処分所得が3万3,652ドル(日本円で370万1,720円)で、5位という結果になっています。

つまり、ドイツの労働生産性は日本より47%も上回っています。ドイツは日本にくらべて、年間の労働時間が350時間も少ないにもかかわらず、労働生産性で上回り、かつ賃金も上回っていることになります。

ドイツで働いている人々が残業をほぼしないことは、ドイツインターナショナルのプログラムの参加者や、仕事仲間をみていてもよくわかります。

Emma
Emma
ドイツの会社とのお打ち合わせは、まず開始時間を15時半以降にすることはないんです。
Baum
Baum
労働時間を守る体制が整っているんだね!

自由な労働時間

自由な労働時間

日本では、9時から18時の8時間など、労働時間が定まっているところがほとんどですが、ドイツでは職種にもよりますが、労働時間が決まっていないことも多いです。

Emma
Emma
日本だと昼休憩は仕事をしないで休憩を取ることが当たり前だと思いますが、ドイツでは食事をしながら仕事をして、その分早く帰る、なんて人も多いですね。あとは、天気がいい日は早く帰って家族と過ごすなんて人もいますよ。
Baum
Baum
へえ〜!柔軟に仕事ができるんだなあ!

労働時間が自由というのは魅力ですが、その代わり、ドイツ人はひとり一人が責任をもって仕事に取り組んでいます。適当に休んでいるわけではなく、仕事とプライベートのメリハリがしっかりできているのです。

ドイツでは、取得した有給休暇をほぼ100%消化する

ドイツでは、取得した有給休暇をほぼ100%消化する
Baum
Baum
日本では、有給休暇を取得しずらい雰囲気があるのだけど、ドイツではどうなんだろう?
Emma
Emma
日本人はびっくりするかもしれないけど、ドイツの有給休暇取得率はほぼ100パーセントです。
Baum
Baum
ほぼ100%!?

ドイツでの有給休暇は、年間最低24日付与され、平均で30日付与されます。
祝日と有給休暇を合わせたときの、ドイツと日本の有給休暇の比較をすると、ドイツは祝日を入れて42日の有給休暇、日本の場合には26日の有給休暇となり、その時点でドイツの方が日本よりも16日多いことになります。

ドイツと日本の有給消化率を比較すると、ドイツがほぼ100%なのに対し、日本は就労条件総合調査によると、47.6%にしか及んでいません。有給休暇の日数だけでなく、消化率も大きな差があるのですね。

Emma
Emma
私は仕事柄、様々な業態の会社の方と一緒に仕事をしていますが、仕事仲間や友人たちは皆さん100%消化していることがよくわかります。お医者さんですら、1週間有給をとることが当たり前なんです。
Emma
Emma
有給休暇を消化していない人は、自分で起業して間もない社長や、ややワーカホリックになっている社長ぐらいの印象です。通常は社長であっても、他の従業員と同じように30日、またはそれ以上の休暇を消化しています。

有給休暇の最低休暇期間は2週間以上!

有給休暇の最低休暇期間は2週間以上!

多くのドイツ人は、最低休暇期間を、2週間以上の単位で年間2回から3回の休暇をとり、様々な休暇の過ごし方をしています。ドイツ人にとっては、仕事のことを忘れるために長期休暇を取得する考えが一般的のようです。
長期休暇で旅行に行くという人もいますし、2週間のうち10日は旅行に行き、残りの4日は旅行の疲れを取るための休みとする人もいます。

休暇でどのような時間を過ごすのかは、人によって自由。自由な時間があるということが、ドイツで生きている人にとっては「人生で欠かせない大切なもの」なのです。

Emma
Emma
仕事の仲間の1人は仕事柄スペイン語が必要だといって3週間の有給休暇をとりスペインの語学学校にみっちり通い、ドイツに戻ってきてスペイン語を使い、業績を上げていました。
Baum
Baum
会社にとっても従業員にとっても、ハッピーな事例だね!

ドイツでは休暇をとること自体が、仕事のパフォーマンスも上げるという考えを持っており、「サバティカル休暇」という長期休暇の仕組みもあります。

サバティカル休暇:一定の長期期間勤続者に、少なくても1ヶ月以上の休暇を与える長期休暇制度。通常付与される有給休暇などの年次休暇とは異なり、休暇理由も自由で、場合によっては1年にわたる連続休暇の取得も可能。

「サバティカル休暇」の間は、基本的には無給となりますが、通常に認められていた有給休暇分の積み立てを利用した補てんも可能で、「サバティカル休暇」期間を利用して、大学院や研究機関で専門知識を学ぶ費用を援助する場合もあります。

使い方に決まりがない休暇ですので、同様に使途制限のない援助金を付与して、経済的に支援するケースも見られます。これは魅力的ですよね。
また、「サバティカル休暇」は、企業側が制度化した休暇制度ですので、長期休暇明けの生活が保障されています。労働者は安心して、長期の休暇を取得することができるのですね。

Baum
Baum
そういえば、ドイツでは「サービス残業」はあったりするの?
Emma
Emma
ドイツでは「サービス残業」の概念がないため、残業分は全て追加の有給休暇として積み立てることができるのよ。

ドイツには病気用の有給休暇がある!?

ドイツには病気用の有給休暇がある!?
Baum
Baum
これだけ労働環境が整っていると、病気やちょっとした風邪の時のサポートもあったりしそう・・・!
Emma
Emma
そうなのよ。ドイツは病気や風邪になってしまったときは、仕事を休んで体を休めることを第一にしているの。

ドイツでは給与支払継続法に基づき、病気や風邪をひいたときには、「就労不能証明書(ドイツ語では、「Arbeitsunfaehigkeitsbescheinigung(アルバイツウンフェーイッヒカイツベシヤイニグンク)」)」という証明書を発行することができる規定があります。

例えばその証明書に、医者が、5日間休暇をとるようにと記載したときには、会社は従業員を有給休暇扱いで休ませなければならないのです。この仕組みでの休暇は、最大で6週間取得できます

ドイツでは、「風邪はゆっくり寝てなおすもの」という考えがあり、風邪をひいても医者は薬を処方せず、家で休むよう促します。ちなみに、この場合の医者の診断については、診断料は一切かかりません

有給休暇と一緒に使うことも可能で、過去には、2週間のタイ旅行のうち1週間病気で寝込んでしまった友人が、帰国後に寝込んでいた間の「就労不能証明書」を発行して休んだ、などというケースもありました。
この話からも、ドイツ人が休むことをとても大切なものだと考えていることがわかりますね。

Emma
Emma
ドイツで仕事をしている人々を見ていると、みなさん、年間で1回から2回はこの休暇を利用している印象があります。風邪をひいたり胃腸炎になったりした時に、みなさん休暇をとっていますね。もちろん給与は支払われますよ。
Baum
Baum
そうなんだ。そういえば、ドイツでは「産休」ってどうなの?
Emma
Emma
もちろんありますよ!特徴的なのが、女性だけでなく男性も、生まれてきた子供が1歳になるまでに、2ヶ月産休をとらなくてはならない条例があるんです。男性も子育てに参加しやすい、素敵な制度ですよね。

まとめ

ドイツと日本では、働き方に対する考えや、休暇の取り方に大きな違いがあることを知っていただけたと思います。
ドイツでの労働時間や休暇の取得の自由度の高さに、驚くと同時に、なぜ成り立っているのか疑問に思う人も多いでしょう。これには理由があって、ドイツでは長期休暇を取得することが当たり前の考えとして根付いているからなのです。

そもそもドイツ人は、自分の人生や家族をとても大切にする国民性で、仕事はあくまで、家族のため、自分の人生の幸せのためにあるものと考えています。そのため、誰かが早く帰ったり長期休暇をとっても、誰も疑問を持ったり後ろ指を刺したりすることはなく、当たり前にフォローをするのですね。

日本人も、ドイツ人の考え方を見習って、互いに協力し支え合う社会になれるようにしていきたいですね。そうしたら、自然と労働環境も良い方向へと動いていくのではないでしょうか。

Baum
Baum
日本とは労働環境が全然違うことにびっくりしたよ!
Emma
Emma
私も日本の働き方との違いに驚くことも多いです。ドイツのような、個人の自由な時間を確保できる働き方を実現するためには、雇用側、被雇用者側のお互いが理解し合うように、意識を変えていく必要があると感じます。

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